「港の人」のこと


港の人のHPでは、「活版印刷詩集のご案内」のお知らせを掲載するとともに、新しく「会社案内」の欄を設けました。「港の人」というおよそ出版社らしからぬ名前のせいか、「どんな会社なんですか?」と不思議そうに聞かれることがよくあります。そこで、改めて会社の成り立ちや、社名の由来、所在地などを簡単に紹介させていただきました。

http://www.minatonohito.jp/company.html


ここにも書きましたが、弊社の社名は詩人の北村太郎さんの長篇詩集『港の人』(思潮社)からいただきました。よく「港の人社」や「港の人出版」などと間違われたりしますが、「社」や「出版」はつきません。


『港の人』は、横浜の港の風景を背景に、人間の孤独で自由な生の軌跡を描いた詩集です。散歩好きだったという北村さんらしく、横浜の四季おりおりの姿がていねいに描かれています。その一方で、内省的なことばがつらなり、人間の孤独さが痛々しいほどに伝わってきます。残念なことに、この詩集はすでに絶版となっているようで、一般書店ではなかなか手に入らないようです。図書館や古書店などでみかけることがあれば、ぜひ一度読んでみてください。


「港の人」といえば、映画監督の青山真治さんが以前「すばる」(2008年8月号)で発表した短編小説のタイトルが「港の人」というもので、驚いた記憶があります。こちらは、三崎口の港に住む海底人という、なんとも不思議なお話でした。


北村太郎さんの本】
『樹上の猫』
『光が射してくる 未刊行詩とエッセイ1946-1992』