「非実用書」棚(オリオン書房ルミネ店)







先日、10月の新刊『石都奇譚集』の営業で、都内の書店をまわってきました。今回は、前から行きたいと思っていた立川のオリオン書房を初めて訪ねました。


オリオン書房といえば同じく立川駅近くにあるノルテ店が有名ですが、今回はルミネ店で見つけたおもしろい棚を紹介します。文芸書コーナーでまず目についたのが、弊社で2005年に刊行した宮沢賢治の『あたまの底のさびしい歌』。「こんな目立つ場所に置いてもらえるなんて……」と感動しながら、その下の段を見てみると、目に入ったのはなんと「非実用書」という文字。一瞬「実用書」と見間違えながらも、並んでいる本を見て思わず笑いそうになりました。


そこに並んでいたのは、『珍説愚説辞典』(J.C.カリエール、G.ベシュテル/国書刊行会)、『世界毒舌大辞典』(ジェローム・デュアメル/大修館書店)、『働かない 「怠けもの」と呼ばれた人たち』(トム・ルッツ/青土社)、 『怠惰を手に入れる方法』(ウェンディ・ワッサースタイン/築地書館)など、書名を見るだけで、どれも「実用」とは真逆と言えそうな本ばかりです。なかでも目立つ場所に置かれているのが、ドミニク・ノゲーズの『人生を完全にダメにするための11のレッスン』(青土社)。そのちょっと過激なタイトルに笑ってしまいましたが、フランスではベストセラーになった「究極のマニュアル本」とのこと。ちなみに、著者のドミニク・ノゲーズといえば、マルグリット・デュラスのインタヴュー本『デュラス、映画を語る』(みすず書房)の聞き手をつとめたフランスの作家・批評家ですが、個人的に印象に残っているのは、彼の『レーニン・ダダ』(ダゲレオ出版)という著書。レーニンが実はダダイストであった仮説を証明してしまうという、これまたとんでもなくおもしろい本で、昔友人に勧められ、熱狂して読んだ覚えがあります。


さらに、この「非実用書」の棚の上には、晶文社植草甚一スクラップ・ブックがずらりと並んでいます。『あたまの底のさびしい歌』は、棚のさらに上の段に、デレク・ジャーマンのエッセイ集『クロマ』(アップリンク)と一緒に飾るように置かれていました。棚のおもしろさに感動して、「ぜひブログで紹介させてください」とお願いしたのですが、どういう意図でこういう棚をつくったのか、もっと詳しく聞いてみればよかったな、と少し後悔しています……。とはいえ、こんなすてきな棚に港の人の本も置いていただき、うれしいかぎりです。


ルミネ店では、他にも工夫された棚が並んでいました。また、店内が広いこともありお店の雰囲気が明るく、絵本やデザイン書などのビジュアルの凝った本も多く目につき、各ジャンルとも充実した品揃えでした。新刊の『石都奇譚集』も10月中旬頃から並ぶ予定ですので、立川にお越しの際は、ぜひ一度訪れてみてください。


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オリオン書房ルミネ店
住所:立川市曙町2-1-1 立川ルミネ8F
TEL:042-527-2311
営業時間:AM10:00〜PM10:00
http://www.orionshobo.com/




あたまの底のさびしい歌

あたまの底のさびしい歌