本屋で見つけた風景 その1


仕事柄、普段から本屋を見つけるとついつい覗いてみたくなります。そして本屋に入って最初にすることは、〈港の人〉の書籍が置いてあるか、どんな場所にどんな形で置いてあるのかを確認することです。品揃えのいい書店なのに自分のところの本は置いていなくてがっかりすることもありますし、逆にこんな小さな書店でもちゃんと置いてくれているんだな、と感激することもあります。


つい最近、藤沢駅のすぐ近くにジュンク堂書店ができたので、早速覗きに行ってみたときのことです。ここでは文芸書のコーナーに『光が射してくる』や『雪の宿り』もあり、『鎌倉広町の森はかくて守られた』はどうだろうと理工書のコーナーを見に行きました。すると、『鎌倉広町〜』はもちろんあったのですが、なんと意外な本もすぐ近くに見つけてしまいました。「水産」の棚に07年に刊行した『湘南漁師物語』が置いていたのです。


『湘南漁師物語』とは、湘南片瀬で漁師をする小菅文雄さんによるエッセイ集です。漁師さんの本なのですから「水産」コーナーに置かれるのは当然ですが、これまではエッセイ本や神奈川の地元本のコーナーに置かれることが多かったため、こういうスポットの当て方もあるのだな、と少し驚きました。せっかくなので、書店の方にお願いして、棚の写真を撮らせていただきました。



この本の他にも、漁師さんや漁業に関する本がたくさん置かれてあり、専門書だけではなく私のような素人でも手にとってみたくなる本がいくつもありました。また、隣の「畜産」の棚にはいま話題の『ぼくは猟師になった』が大きく扱われていました。


『ぼくは猟師になった』は、京都に住む33歳の著者が自ら選んだ猟師という生き方について語った一冊です。獲物の解体の仕方や猟の仕方などを詳しく説明するこの本は、様々な雑誌で取り上げられ、現在ベストセラーとなっています。一方の『湘南漁師物語』は、代々漁師である家庭に育ち、生まれた頃から海や魚とともに過ごしてきた小菅さんが、漁師という仕事のことや日々の生活のこと、そして片瀬という土地にまつわる話などを、軽やかな語り口で綴った本です。テイストは大きく異なる本ですが、どちらも食の問題が取りざたされる昨今にこそ読みたい本、と言えるかもしれません。
自分たちの食べるものを自らの手で「狩る」という仕事は、これからますます注目されていくのではないでしょうか。
http://www.minatonohito.jp/books/b065.html

湘南漁師物語

湘南漁師物語

ぼくは猟師になった

ぼくは猟師になった