新刊2冊の紹介


再履修 とっても恥ずかしゼミナール』(万田邦敏著)の話題ばかりが続いていますが、10月の新刊2冊も先日できあがりました。

『英国文化の巨人 サミュエル・ジョンソン』(江藤秀一、芝垣茂、諏訪部仁編著)と、『文献日本語学』今野真二著)です。



『英国文化の巨人 サミュエル・ジョンソン』は、イギリス初の本格的英語辞書『英語辞典』の編纂者であり、18世紀イギリスを代表する文豪サミュエル・ジョンソンの、生涯と魅力を紹介する一冊です。ジョンソンは、日本では『英語辞典』の編纂という大事業を成し遂げた人として知られていますが、その他にも、風刺詩『ロンドン』などの詩作やシェイクスピアの研究、物語、随筆、評論など、幅広い分野で活躍した文学者です。なかでも、英国17〜18世紀の詩人52人の評伝を集めた『詩人伝』は、英国詩の研究に欠かせない重要な文献となっています。


「英国では記念硬貨が発行されるほどの大人物であり、聖書とシェイクスピアについで各種の引用事典にその名言が掲載されている英国文化の巨人」(「はじめに」より)とのことで、大変人気の高い18世紀の文学者です。本書では、彼の破天荒な性格や生涯、多彩な業績をていねいに紹介します。


関連書籍としては、ボズウェル著『サミュエル・ジョンソン伝』の簡略版『ジョンソン博士の言葉 (大人の本棚)』(中野好之訳/みすず書房)などがあります。ちなみに、『英国文化の巨人 サミュエル・ジョンソン』では、この伝記の著者であるジェイムズ・ボズウェルの人となりや、ジョンソンとの関係も詳しく紹介しています。


『文献日本語学』は、近著『振仮名の歴史』(集英社新書)が注目されている、気鋭の研究者・今野真二さんの書籍です。本書は、さまざまな言語作品/文献を研究対象とする「文献学」と、日本語という言語を分析する「日本語学」を組み合わせた、新たな「文献日本語学」を提言する書です。「文献日本語学」とは、簡単にいえば「文献にもとづく日本語学」ということになりますが、そのための方法や視点を考察し、具体的な文献(『竹取物語』『宇治拾遺物語』など)をもとに、さまざまなアプローチを試みています。


どちらも、研究書として有意義な書物です。装幀は、『英国文化の巨人』は関宙明さん、『文献日本語学』は清水理江さんが手掛けてくださいました。