エリック・ロメールの訃報を聞いて
三連休を終え、連休中に見た映画についてブログ記事を書こうと思っていましたが、今日の朝方に耳にしたニュースの衝撃が大きく、書く気が失せてしまいました。そのニュースとは、フランス映画界の巨匠エリック・ロメール監督が11日にパリで亡くなった、というものです。
エリック・ロメールは、フランスのヌーヴェルヴァーグの中心人物として活躍し、『獅子座』(1959)『クレールの膝』(1970)『友だちの恋人』(1987)など、数々の傑作を監督した人です。どの映画でも、光と影の美しい映像が印象的でした。また、『グレースと公爵』(2001)や『三重スパイ』(2003)など、政治や歴史の題材を扱った近年の作品も、とてもおもしろく見ていました。
昨年は、遺作となった『アストレとセラドン 我が至上の愛』(2007)が日本でも公開されました。5世紀のフランスを舞台に、美しい若者たちの戯れを描いたこの作品は、87歳で監督したとは思えないほど瑞々しい映画です。森のなかで、セラドン(男)が眠ったままのアストレ(女)の太ももにそっと手を伸ばすシーンでは、その美しさとエロティックさに思わず息を飲んでしまいました。また、女装したセラドンと、彼(女)の正体を知らないアストレがベッドのうえで戯れるシーンでは、どこかバカバカしくも思えるほど可笑しく、官能的でした。
高齢の監督ではありましたが、次はどんな作品を見ることができるのだろうと、何の疑いもなくその新作を楽しみにしていました。これからは、彼が遺した作品をゆっくりと見直していきたいと思います。
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