サウダージ・ブックスの座vol.3を終えて

20日(土)に行われた「サウダージ・ブックスの座vol.3 村野美優『草地の時間』刊行記念」は無事に終了しました。定員20名とのことでしたが、思った以上にたくさんの方に来ていただき、とても活気のあるトークとなりました。


第一部では、著者である村野美優さんが、自作の詩を朗読し、詩人の吉田文憲さんとのトークを行いました。吉田文憲さんは、『草地の時間』のなかに織り込まれている「栞」にも文章を寄せてくださったのですが、なんと今回のトークのために、また新たに原稿をつくってきてくださいました。村野さんの第一詩集のタイトルでもある「はぐれた子供」というテーマをもとにお話をしていただきました。


第二部では、『草地の時間』がその第一弾となる、港の人による「活版印刷詩集プロジェクト」についての座談会でした。なぜいま活版印刷なのか、ということについて、会場のお客さんも交えて熱心に話し合うことができたと思います。村野さん自身は、もともと活版印刷オフセット印刷という違いに特別な思いはなかったそうです。しかし、今回の活版印刷詩集を作る過程で目にした文字の「誤植」を通して、人の手によって文字が置かれていること、人の手によって詩集がつくられていく実感をあらためて感じることができた、というお話をしてくださいました。


もちろん活版印刷でなくても、本はつねに人の手によってつくられていくものです。とはいえ、パソコンのデータを交換しあうことで本を作っているうちに、ひとつの作品がひとつひとつの文字によって構成されていること、そしてその文字が紙に印刷され、その紙を裁断し、編んでいくことで一冊の本ができあがるということ、こうした本作りの過程をほとんど意識しなくなっているような気がします。


もしかすると、「活版印刷詩集プロジェクト」の一番の目的は、本作りとは何か、作品を形にするとはどういうことか、ということについて、もう一度みつめ直すきっかけをつくることなのかもしれません。みなさんのトークを聞きながら、そんなことをぼんやりと考えていました。


サウダージ・ブックスの淺野さんも、ブログにて当日の様子を書いてくれました。こちらもぜひご覧ください。


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