新刊『アメリカのライト・ヴァース』(西原克政著)



しばらくブログの更新が滞っていましたが、その間に2冊の新刊を刊行しました。一冊目は、『アメリカのライト・ヴァース』(西原克政著)。著者の西原克政さんは、『トーキング・ボディ』の著者でもあり、訳書に『世界の詩論』『アメリカ子供詩集』(どちらも共訳)などをもつ、アメリカ文学・詩に深く精通している方です。現在は、関東学院大学で教鞭を執られています。


アメリカのライト・ヴァース』は、アメリカ詩における「ライト・ヴァース」を紹介し、その魅力を論じた、アメリカ現代詩の入門書です。「ライト・ヴァース light verse」とは、詩の1ジャンルの呼び名です。発祥はイギリスだそうで、日本では、書肆山田が刊行した「日本のライト・ヴァース」全4巻、「世界のライト・ヴァース」全5巻のシリーズでその名前がよく知られています。直訳すれば「軽い詩」ですが、日本語で説明するのはなかなか難しそうです。一般的な詩のイメージとして、高尚でシリアスな面があるとすれば、「ライト・ヴァース」とは、もっとかろやかで、ユーモアのある、庶民的な、軽みをもった詩、というイメージでしょうか…。


本書によれば、「ライト・ヴァース」というジャンルはそもそも定義が難しいものらしく、英語圏においても「詩は高級なものであるという固定観念が、ライト・ヴァースの存在価値を貶めている」ような一面があるようです。本書は、定義の難しい「ライト・ヴァース」について、具体的な作品をあげながら、わかりやすく紹介していきます。アメリカを代表する詩人エミリ・ディキンソンやウィリアム・カーロス・ウィリアムズ、e.e.カミングズなどのほか、ミュージシャンのポール・サイモンの作詞や、アメリカの第6代大統領ジョン・クインシー・アダムズが書いたライト・ヴァースなども取り上げています。


収録された12篇のエッセイはどれも、機智とユーモアにあふれた、かろやかな文章ばかりです。「ライト・ヴァース」を紹介するアメリカ現代詩入門書として、ぜひご覧ください。


アメリカのライト・ヴァース
http://www.minatonohito.jp/products/099_01.html