書評『アメリカのライト・ヴァース』(「図書新聞」)



図書新聞」5月22日号に、『アメリカのライト・ヴァース』(西原克政著)の書評が掲載されました。評者は、獨協大学教授の原成吉さん。先日の「読売新聞」での書評につづき、2つ目の書評記事です。



評者の原さんは、本書を「アメリカ詩の優れた案内書」と評し、各章の内容を詳しく紹介しながら、本書のおもしろさを語ってくださいました。また、「(著者の)西原氏は、日本の文化伝統を合わせ鏡としながら、アメリカ詩を読んでゆく」、という鋭い指摘もされており、私自身も「なるほど」と思わされました。本書では、アメリカ詩の紹介とともに、日本の俳句や草野心平の詩などについての考察が平行しておこなれています。日本文化とアメリカ詩がどのように比較され、考察されているのか、ぜひ本書を読んでみてください。

ライト・ヴァースの目的は、美が脱ぎ捨てた服の方が美しいという誤解を奨励することにある」というモリス・ビショップの定義を枕にしながら、西原氏はアメリカ詩を読むことの面白さをおしえてくれる。ここに収められた十二のエッセイは、テーマも取り扱う詩人も違うが、通読してみると、西原氏の語りのスタイルがビショップの定義そのものに思えてきた。
アメリカのライト・ヴァース』はアメリカ詩の優れた案内書であるが、通常のフィールド・ガイドとは少し違う。ガイドの巧みな話術に誘われてその後をついてゆくと、これまで地図に載っていなかった場所が見えてくる。


原成吉(「図書新聞」2010年5月22日号)