山村由紀詩集『青の棕櫚』が出来上がりました。


*真っ白な紙に青く光る文字が浮かびます。



*カバー裏には真っ青な棕櫚(しゅろ)の絵。



*カバーをめくると真っ青な表紙が現われます。



*本文ページ。



11月新刊書籍のご案内です。山村由紀さんの最新詩集『青の棕櫚』が出来上がりました。山村由紀さんは大阪を中心に活動している詩人で、個人詩誌「kanpinue」(カンピヌエ)を定期的に刊行し、ホームページ「空想曲率」も運営されています。本書は山村さんの第3詩集。「青」が瑞々しく輝くブックデザインは、西田優子さんが手がけました。


この詩集で大きなテーマとなっているのが、彼女の叔母の死です。叔母の生きてきた人生を想い、その死を見つめるとき、そこから詩のことばが生まれてきます。ひりひりとした哀しさと静かな情景が伝わってくる詩集です。


少部数ですのであまり多くは流通していませんが、大きな書店等などには近々並ぶ予定です。ぜひ手にとってご覧ください。



三つか四つのころ公団住宅の前に植えられた棕櫚を眺めていた。尖った葉や毛むくじゃらな幹は他の木とは明らかに違い、どことなくひとのようにも見え、動くかもしれないと恐怖心を抱いたのを覚えている。棕櫚は今もアパートの裏や散歩の道すがらに堂々と、あるいは他の木の陰でしんなりと生えている。幼い時の恐怖心は次第に、動くかもしれないという期待感に変わり、時折立ち止まってじっと見つめている。
動かないもの、この世から消えたものに潜む力。その力に何かのはずみで触れた時、わたしは詩に向かう。そこから現われてくるものを見たい。これまでも、これからも。


「あとがき」より



『青の棕櫚』
著者:山村由紀
造本:A5判/ソフトカバー/本文88頁/カバー装
定価:1,500円(本体価格・税別)
ISBN978-4-89629-268-8 C0092
http://www.minatonohito.jp/products/145_01.html