宮沢賢治からの手紙


先日の日記宮沢賢治の手紙集『あたまの底のさびしい歌』の一部を紹介しました。この本は、宮沢賢治が家族や友人に宛てた手紙のなかから11通を選び出し、川原真由美さんの美しいイラストとともに再構成した一冊です。2005年に刊行した本ですが、改めて読み直してみると、いまだからこそ読んでもらいたいことばがたくさん収められていることに気づきます。


現在はこの本を置いている書店も限られていますが、書店であらためて置いてもらえるよう、知り合いの書店員さんなどに「昔出したものでこういう本があるのですが……」とご紹介しています。どこに置いてもらえるかなど、詳しくはまたここでご報告しますが、まずは賢治の書いた手紙を一部ご紹介します。弟に宛てた手紙の一節です。

われわれは楽しく正しく進もうではありませんか。


苦痛を享楽できる人はほんとうの詩人です。
もし風や光のなかに自分を忘れ
世界がじぶんの庭になり、
あるいは惚として
銀河系全体をひとりのじぶんだと感ずるときは
たのしいことではありませんか。


もし四月まで居るようならもいちどきっと訪ねて行きます。




(1925年 弟、宮沢清六への手紙より『あたまの底のさびしい歌』)

あたまの底のさびしい歌

あたまの底のさびしい歌