関西の書店のこと2(大阪)

GWを挟み、ブログの更新がすっかり遅くなってしまいましたが、引き続き関西で訪ねた書店のことを。今回は大阪の大型書店やブックカフェのことをご紹介します。


梅田駅付近の大型書店


大阪といえば、注目はまず先日オープンしたばかりの梅田のMARUZENジュンク堂梅田店。安藤忠雄設計の複合ビル、チャスカ茶屋町B1階から7階までを占める、売り場面積日本一の書店です。天井も高く、とにかくその面積に圧倒されました。2階の文芸書コーナーではちょうど「詩歌最前線」というフェアを開催中で、現在活躍を期待される詩人・歌人の本がずらりと並ぶなかに、光森裕樹さんの『鈴を産むひばり』も置いていただいていました(現在は終了)。梅田駅付近は、老舗の旭屋書店本店、ブックファースト梅田店、堂島のジュンク堂大阪本店、阪急ターミナルビル内にある紀伊國屋梅田本店など、大型書店が多数ある激戦区でもあります。それぞれの書店によって個性は違いましたが、とにかくどの書店も開放感のあるフロアが印象的でした。フロアが広いこともあり、弊社の書籍を扱ってくれているお店も多く、『きのこ文学名作選』も現在は棚刺しになっているところが多いものの、発売直後は結構動いていましたよ、とほとんどのお店でおしゃっていただきました。



ちなみに、ジュンク堂大阪本店の文芸コーナーでは「文芸書通信」という手作りの小さな冊子が無料で配布されていました。書店員さんによる好きな本の紹介から「本で解決!お悩み相談室」のようなコーナーまで、書店員さんが身近に感じられる内容の小冊子です。そういえば棚に貼られたPOPの文面もそれぞれの本を丁寧に読んでいることが伝わるもので、書店員さんの趣味が反映されているような気がしました。個人的に、こういう手作りの冊子がある書店(往来堂書店さんなど)はそれだけで好きになってしまいます。


ジュンク堂大阪本店の「文芸書通信」vol.13



さて、大型書店をまわった後は、神戸の海文堂書店とともに今回の関西出張の目的でもあった、大阪のブックカフェCalo Bookshop and Cafeと、同じくブックカフェ&ギャラリーのiTohenへ。この2店ではちょうど4月24日まで、飯沢耕太郎さんの旅のドローイング&コラージュ展「ストーンタウン・グラフィティ」を開催中でした。この展示は、先日京都へ移転したばかりのサウダージ・ブックスの淺野さんが企画したもの。この展示にあわせて、『石都奇譚集』『きのこ文学名作選』を販売してもらっていたこともあり、大阪に来たらこの2店に挨拶に行こう、と決めていました。ということでまずは、Caloへおじゃましてきました。


ブックカフェ&ギャラリー/CaloとiTohen


Calo(カロ)は、「洋書からミニコミまで、コンテンポラリーアート・写真・デザインなどのヴィジュアル書と関連書籍、アート・デザイングッズを扱う書店をメインに、カフェとギャラリーの3つの機能を組み合わせたスペース」。ギャラリースペースでは、写真や絵画等の展示や講演なども開催しているということです。私が訪ねた日はちょうど飯沢さんによるコラージュ制作のワークショップの最中でした(WSの様子はこちらの日記で)。会場はすべてワークショップのスペースに使われていたため、カフェとしての様子は見られませんでしたが、ヴィジュアル書をメインとした書籍やグッズなどがお店いっぱいに置かれていて、それぞれの棚を見ているだけで併記で数時間経ってしまいそうでした。こちらでは『石都奇譚集』『きのこ文学名作選』のほかに、『あたまの底のさびしい歌』も販売してもらうことになりました。ギャラリースペースも明るく、とてもいい雰囲気のお店でした。現在は、川島小鳥写真展「未来ちゃん」を開催中とのことです(17日まで)。




その後、地下鉄で中津駅まで移動し、同じく飯沢耕太郎さんの旅のドローイング&コラージュ展「ストーンタウン・グラフィティ」を開催中のiTohen(いとへん)へ。こちらでは、お店の方が気に入った本を直接仕入れるという形で、洋書やデザイン書から詩集まで、幅広いジャンルの本が並んでいました。お店を訪ねたのは今回が初めてでしたが、実はこちらのお店では、2005年に『あたまの底のさびしい歌』を刊行してから現在までずっと本書を販売していただいており、つきあいとしてはかなり長くなります。『あたまの底のさびしい歌』はおそらくもう40冊近くは売ってもらったと思いますが、6年が経ったいまでも少しずつ売れているようで、私が伺った際にもすでに在庫が残り少なくなっていました(『きのこ文学名作選』も販売中です)。


このブックカフェ&ギャラリーiTohenを運営しているのは、グラフィックデザインを手がけるデザイン事務所SKKY。iTohenで展覧会を行なったアーティストの作品集やフライヤーなどを中心に、様々な作品を制作しています。


またiTohen/SKKYは、美術同人誌「四月と十月」とも関係が深く、「四月と十月」のグループ展や、同人でもある画家/作家のミロコマチコさんの展示会なども行っています。そこで、このたび弊社と「四月と十月」とで協力して刊行する新シリーズ〈四月と十月文庫〉についてもいろいろとお話ししてきました。このシリーズでは、まずは第一弾の『えびな書店店主の記』を6月下旬に刊行する予定ですが、次回以降の予定として、ミロコマチコさんの書き下ろしエッセイも予定しています。刊行の際には、ぜひiTohenでミロコさんの展示会などができればいいなぁ、と考えています。こちらでは、珈琲をごちそうになりながら、SKKYで制作した作品を見せていただくなど、すっかり長居をしてしまいました。それだけ居心地のいい、ゆったりとした時間のながれる空間でした。



さて、大阪ではもうひとつ、すてきな書店さんとの出会いがあったのですが、長くなったのでそれはまた次回に。次回は長谷川書店についてご紹介します。