「図書新聞」に今野真二先生のインタビュー記事が掲載されました!





ご紹介が遅くなりましたが、「図書新聞」1月11日号に、日本語学者の今野真二先生のインタビュー記事が掲載されました。今野真二先生は、弊社から4冊の日本語学の本『文献日本語学』『漢語辞書論攷』『ボール表紙本と明治の日本語』『『言海』と明治の日本語』を刊行しています。今回のインタビューは「『『言海』と明治の日本語』(港の人)をめぐって」と題され、この新刊を中心に、これまでに港の人から刊行した本のこと、自身が提唱する「文献日本語学」について、そして日本語の魅力について、丁寧にお話しされています。


「分からないことの豊かさ」「分からないことの面白さ」を読者に伝えていきたいと語る今野先生。資料に接する際も、データだけではなく、現物を見て、触ることが非常に大事だと語る先生のことばからは、日本語学だけでなく書物の在り方に対する深い思いが感じられます。



書物は、時間が集積した物体として存在しています。だからそれが過去の時代に行く道になる。手触りなどの五感を通した刺激から人間の思考が動かされて、時代を想像するということが大事だと思います。電子情報から入り込むということはありえないという気がしています。非科学的な言い方になりますが、自分にとっては現物を見て、触ることが非常に大事だし、それを使うことによって、何が分かるのか分からないけれども、何かがあるのではないかということなんです。


(略)


過去の日本語に対する目配りが急速に弱くなっていると思います。いまの日本語だけが日本語ではない。過去にどういう日本語があって、その延長線上にいまの日本語があるということを少なくとも知っておいてほしいし、知るべきだと思います。


(略)


とにかくいまの世の中は「いま−ここ」に偏りすぎているように思います。例えば本が「いま−ここ」で面白くなければ面白くないというように。しかしそんなに「いま−ここ」ばかりが重要なのかという気がします。「いま−ここ」で価値があるものは価値があるとしても、「いま-ここ」でつまらないものは価値がないというのは短絡的でしょう。




図書新聞」2014年1月1日号
今野真二氏インタビュー『『言海』と明治の日本語』(港の人)をめぐって」より抜粋