新刊/詩集『Dear Deer!』(稲葉江利加)が出来上がりました。

梅雨明け間近の海の日、稲葉江利加さんの詩集『Dear Deer!』が刊行されました。稲葉さんは、釧路出身で千葉県在住の詩人。この詩集は、故郷釧路を舞台に青春や家族の姿をうたう詩が中心になっています。厳寒の地で生きることの厳しさや悲しみを漂わせつつも、あたたかみやユーモアのエッセンスを添え、平明なことばでつづられた作品ばかりです。もちろんタイトル通り、鹿(deer)もいろいろ登場します。

私は私を
とどめておきたい、いつも

私の中にある
掴みどころのないもの
いつか私を蹂躙したものや
いつか私が蹂躙したもの
今 私が犯している罪と
私が受けた屈辱と
憎しみと
今 私が愛おしんでいる幼い命と

とどめておきたいのだ いつも
そうでなければ
いつか私は
私を忘れてしまう

装幀は、西田優子さん(Yuransen Graphic)。港の人では、詩集『青の棕櫚』に続いてお願いしたお仕事です。白樺林を歩く鹿を描いたカバーの絵は藤井人史さん。幻想的で落ち着いた雰囲気の詩集に仕上がりました。


詩集『Dear Deer!』
[著者]稲葉江利加
[造本]四六判/上製本/カバー装/本文112頁
[定価]1,600円(本体価格・税別)
ISBN978-4-89629-279-4 C0092