新刊/『晩年にみる英米作家の生き方 モーム、ミラー、アップダイクほか15人の歩んだ道』

 立て続けに出ました7月の新刊は、ユニークな評伝集です。有名な英米作家たちを、その晩年に焦点をあてて紹介する本です。取り上げる作家は、サブタイトルにある、サマセット・モームヘンリー・ミラージョン・アップダイクのほか、「大草原の小さな家」でおなじみローラ・インガルス・ワイルダーや「カンタベリー物語」のジェフリー・チョーサーなど、人気と実力のある大御所ばかり。そして、もうひとつの特徴は、みんな長生きしたということです。
 編著者である江藤秀一さんのあとがきから引用してみます。

欧米の作家にはシェイクスピアの五二歳やスコット・フィッツジェラルドの四四歳のように、短命に終わった作家もいるが、長く生きた作家もいる。その長生きの作家たちの晩年はどのようなものだったのだろうか。そして、その長生きの作家の生涯や晩年には、私たちの老後を生きるためのヒントがあるのではないだろうか。若い時にヒット作を出して、あとは悠々自適の生活を送る作家たち、いつまでもマスコミに話題を提供する活力みなぎる作家たち、白髪の知的香りを振りまく作家たち。きっと、長生きの作家たちは私たちに生きる力と勇気を与えてくれるものと思われた。そんなことを仲間と語り合っているところから本書が生まれた。

 当たり前のことながら、大御所作家にもそれぞれの人生があり、家族との暮らしがあり、挫折や苦労があったのです。そのような作家たちの素顔を知ることは、彼らの作品をより深く味わうための助けになってくれるでしょう。
 江藤秀一さんは、イギリスの人気文学者であり、イギリス初の本格的辞書『英語辞典』を編纂したサミュエル・ジョンソンの評伝『英国文化の巨人 サミュエル・ジョンソン』を出してくださった先生でもあります。そして各作家の評伝は、専門の研究者のかたがたが、それぞれ執筆なさっていますので、コンパクトながら正確で読み応えのある評伝になっていると思います。



『晩年にみる英米作家の生き方 モーム、ミラー、アップダイクほか15人の歩んだ道』
[編著者]江藤秀一
[造本]四六判/ソフトカバー/本文278頁
[定価]2,300円(本体価格・税別)
ISBN978-4-89629-280-0 C0023
http://www.minatonohito.jp/products/151_01.html