『山田航第二歌集 水に沈む羊』、いよいよ刊行です。

札幌在住の歌人、山田航(やまだわたる)さんの第二歌集が出来上がりました。山田さんは、2012年の第一歌集『さよならバグ・チルドレン』で北海道新聞短歌賞、現代歌人協会賞を受賞。穂村弘さんとの共著『世界中が夕焼け』では穂村さんの短歌を解説し、また、昨年12月に出た若い歌人40名の作品を紹介する『桜前線開架宣言』が現在話題を呼んでいる、1983年生まれの歌人です。
大学生のとき穂村弘さんの短歌に出会って衝撃を受け、短歌を作ることを始めたという山田さん。『さよならバグ・チルドレン』の冒頭には「スタートラインに立てない全ての人のために」という言葉がありました。現代を生きる若者が抱え込まざるをえない孤独や喪失感と向き合い続ける山田さんが30代になってどんな世界へ歩みを進めたのか、この本に収められた短歌に直接触れていただきたいと思います。

ブックデザインは吉岡秀典さん。佐藤文香さんの句集『君に目があり見開かれ』に引き続いて、言葉の世界を包む新しい装幀をお願いしました。手触り、文字の色、ページの中の歌の配置……すみずみにまで心を配った吉岡さんのデザインにもご注目ください。

明後日2月28日、東京・下北沢の書店B&Bで山田さんと野口あや子さんのトークイベントがあります。3月12日には紀伊國屋書店本店で穂村弘さんとのトークがありますが、こちらは残念ながら満員となったようです。どちらも左右社の『桜前線開架宣言』刊行を記念してのイベントです。

ご紹介したい作品がたくさんありますが、3首だけ引用します。

祝福よすべてであれと病む肺のやうな卵をテーブルに置く

水に沈む羊のあをきまなざしよ散るな まだ、まだ水面ぢやない

焼却炉は撤去されたが校庭にまだ感情の燃えかすは舞ふ

[書名]山田航第二歌集 水に沈む羊
[造本]四六判/並製本/本文98ページ
[定価]1200円(本体価格・税別)
ISBN978-4-89629-310-4 C0392
http://www.minatonohito.jp/products/181_01.html