『ロケットの正午を待っている』トークイベント終了しました

波戸岡景太『ロケットの正午を待っている』の刊行を記念して、去る18日に、下北沢B&Bトークイベントがおこなわれました。題して「アートとテクノロジー 活版印刷ダゲレオタイプ、ときどきロケット」。お相手は、写真家の新井卓さんです。新井さんは2016年木村伊兵衛賞を受賞、昨年出版された写真集『MOMENTS』は、新井さんがずっと取り組んでおられるダゲレオタイプのシリーズ、福島、広島、長崎、アメリカなど核のモニュメントをめぐる作品群などを収めた、たいへん美しい書物です。
今回のイベントのために、波戸岡さんが一種のレジュメとして用意してくださったのは、波戸岡さんがかかわる出版レーベル、Office Sempervivumの制作物としての「本」。『引 -in-』と題し、『ロケットの正午を待っている』と『MOMENTS』から、「記憶と悪」「兵器と肖像」などのテーマに沿った引用文が併記してあります。本文は蛇腹式、1冊ごとに色の違う表紙でくるまれた手製本です。
言うまでもなく私たちの日常はさまざまなテクノロジーに取り囲まれているわけですが、おふたりが撮影や本づくりを通して体験なさっている、いわゆるローテクとハイテクなものの振幅から見えてくるものを自由に語っておられました。トークイベントならではの、裏話や打ち明け話も多数飛び出しつつ、同世代のおふたりが、決してシニカルにはならずに、現代と未来における表現の可能性を志向しておられる姿が印象的でした。
『ロケットの正午を待っている』は、弊社では在庫切れになっておりますが、大きな書店等ではまだ置いてくださっているところがあるようです。活版印刷による限定本となりますので、今のうちにぜひお求めください。今回の会場である下北沢B&Bでお買い求めくださると、当日配布された『引 -in-』が付録としてついてきます!