ウィリアム・メレル・ヴォーリズのこと


先日の「朝日新聞」(10月24日)夕刊「ニッポン人脈記」にて、米国出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズのことを紹介されていました。大阪の大丸心斎橋店や東京の山の上ホテル、その他国内外に1500もの建物を残したヴォーリズは、キリスト教伝道を兼ねて、英語教師として1905年に来日。「建築、伝道に力を尽くす一方、ヴォーリズは後の近江兄弟社を立ち上げて医薬品のメンソレータム(現メンターム)」を日本に紹介しました。本記事では、建築家・キリスト教者としてのヴォーリズの紹介から、「フォークの神様」岡林信康ヴォーリズとの意外な関係、そしてヴォーリズが設計し1933年に完成した神戸女学院大学について紹介されています。


神戸女学院大学で今年3月まで教鞭をとっていた内田樹さんは、大学校舎の立て替えに反対し、最終講義ではヴォーリズの校舎の魅力を語ったそうです。「赤い瓦屋根に窓や入り口の半円アーチが特徴的な」神戸女学院大学校舎の写真も掲載され、「発見の喜び」がひそむ校舎として紹介されています。同大学に限らず、ヴォーリズが設計した建物のなかには、現在、老朽化による立て替えの波にさらされているものも少なくなく、滋賀県にある豊郷町立豊郷小学校も、一時期、旧校舎の解体問題が大きく話題になりました。


港の人では、2005年に『ヴォーリズ評伝 日本で隣人愛を実践したアメリカ人』(奥村直彦著)という本を刊行しました。本書は、この記事のなかでも、「日本基督教団安土教会牧師の奥村直彦(82)は、57年に近江兄弟社学園の教師になり、身近に指導を受けたヴォーリズの評伝を書いた」と紹介されています。日本と日本人を愛し、あらゆる困難を克服して近江に「神の国」の理想社会をつくるべく生涯を捧げたウィリアム・メレル・ヴォーリズの生涯を詳しく追った初の本格評伝です。また、上で紹介した内田樹さんの最終講義は、『最終講義 生き延びるための六講』(技術評論社)という本に収められています。ヴォーリズの生き方、そして手がけた建築物に興味を持った方は、ぜひこれらの本も読んでみてください。



ヴォーリズ評伝

ヴォーリズ評伝

最終講義?生き延びるための六講 (生きる技術!叢書)

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