雑誌「CREA」4月号で『装幀のなかの絵』が紹介されました(作家・石田千「読書月記」)
先日、「クウネル」3月号で「原始のひかり」という文章を書いてくださった作家の石田千さん(「四月と十月」の同人でもあります)が、雑誌「CREA」4月号でも本書を紹介してくれました。
「読書月記」の「今月の3冊」として、『山川登美子歌集』(今野寿美編/岩波文庫)、『サリーのえらぶ道』(エリザベス・オハラ著、もりうちすみこ訳/さ・え・ら書房)とともに、四月と十月文庫3『装幀のなかの絵』(有山達也著/港の人)を取り上げています。石田千さんの綴る文章がとてもすてきで、他の2冊も読んでみたくなりました。
「原始のひかり」にも、「有山さんと仕事をするたびに、かたくきしむ心身を申し訳なく思う」とありましたが、ここでも千さんは「有山達也さんに装丁をお願いするときは、とても緊張する」と書かれています。『装幀のなかの絵』にも、著者や編集者と有山さんとの間にある、心地よい緊張感が描かれているような気がします。
『装幀のなかの絵』は、有山さんが写真家、画家、家族との交流を通して、どう考え、どう仕上げたかが明確に書いてある。関わったひとたちとの時間を、最善の形にする。その職人気質が、書店にならんだときにすがすがしく伝わる。
きちんとアイロンのあたった服は、ていねいに着るようになる。有山さんがアートディレクションを手がける単行本、雑誌『クウネル』や『雲のうえ』も、手にするひとを晴れがましい背すじにさせてくれる。
よい仕事のまわりには、共通する心地よい風が吹いている。