対談:石牟礼道子×姜信子「命の思いをどう語り継ぐか」(「週刊読書人」)


遅ればせながら、「週刊読書人」6月29日号を読みました。1面には、作家の石牟礼道子さんと、『はじまれ 犀の角問わず語り』の著者、姜信子さんとの対談「命の思いをどう語り継ぐか」が掲載されています。


先日、ジュンク堂書店池袋本店で行われた、姜信子さんと今福龍太さんの対談(サウダージ・ブックス フェア記念)の際に、姜さんが石牟礼さんに会いに通っていると話されていました。このときの対談で個人的に印象に残っているのは、姜さんが語っていた「作家のように何かを表現する者の使命は、他者の声を聞いて、それを言葉(形)にすることなのではないか。巫女のようになって死者の声を言葉にしていくことが作家の仕事じゃないか」というようなこと。


週刊読書人」の対談では、まさにこの「死者の声を言葉にする」ことについて、震災のこと、水俣のことを通してお話しされています。うまく言葉にまとめられないほど、いろいろと揺さぶられる対談でした。もともとは今年3月に刊行された『なみだふるはな』(石牟礼道子藤原新也著、河出書房新社)の書評を、姜さんが本紙に書かれたことがきっかけで、この対談が実現したそうです。


内容についてうまく紹介することができませんが、ぜひ「週刊読書人」6月29日号のこの対談記事を読んでみてください。


 私も、あちこち歩いて、その土地土地の人に寄り添って話を聞くことは、その人の記憶を聞くことではなくて、語れなかったことを聞くことなんだとだんだんわかってきたからなのでしょう。記憶を受け継ぐのではなくて、断念した思いの方を受け継いで、また受け渡せた時に人間は繋がっていけるのだろうとつくづく思ったんです。



(「週刊読書人」2012年6月29日号/対談:石牟礼道子×姜信子「命の思いをどう語り継ぐか」)