新刊『年月のあしあと(四)』(坂本育雄 著)



9月、10月は新刊ラッシュが続きます。まずはエッセイ集『年月のあしあと(四)』のご紹介です。本書は、『夏目漱石』『評伝廣津和郎』ほか多数の著書を持つ文芸評論家、坂本育雄さんの最新エッセイ集です。1998年に刊行された『年月のあしあと』(鶴見大学日本文学会 発行)から続くシリーズ4冊目。港の人では、2008年に『続 年月のあしあと』も刊行しています(『年月のあしあと(三)』は翰林書房から刊行)。


本書では、著者が敬愛してやまない作家・思想家たち(福沢諭吉夏目漱石、釋迢空、廣津和郎、井筒俊彦)について、気骨があり、ぬくもりある筆致でつづった珠玉のエッセイと論考をまとめています。著者の文学を愛する熱が伝わってくる1冊です。


「年月のあしあと」という書名は、作家・廣津和郎の自伝的回想録『年月のあしおと』から取ったもの。正確には、廣津和郎がこの回想録を「群像」(昭和36〜42年)に連載していた際、その第1回の題名のみ「年月のあしあと」となっており、第2回からは「年月のあしおと」と改められた、とのこと。坂本さんは、「僕は相当廣津和郎という作家に肩入れしてきたつもりなので、廣津が一回だけ使って捨てた「あしあと」の方を借りた」と説明されています。


少部数のため、あまり多くは並んでいませんが、書店で見かけた際にはぜひ手にとってご覧ください。