書評『鳥の意思、それは静かに』『ボール表紙本と明治の日本語』



今年も残りわずかとなりました。今日は、今年刊行した書籍2点の書評をご紹介します。




まず1冊目は、今年4月に刊行した、宮岡絵美さんの第1詩集『鳥の意思、それは静かに』。「図書新聞」12月22日号にて、詩人の海埜今日子さんによる書評が掲載されました。四つの章ごとに丁寧に読み込んでくれています。



空のもとで世界との交信を求めて。読後の第一印象として、概ねそんな言葉が心に浮かんだ。世界を時に科学者のように見つめ、数多の生たちとの交接を通じて、ありのままの世界を引き寄せようとする、そのことが交信の所作として、羽ばたいて見えたのだった。接点を大切に記憶し、記録しようとする、意思の羽。それはどこか郷愁を誘う。


図書新聞」2012年12月22日/海埜今日子

もう1冊は、今年10月に刊行した、今野真二さんの『ボール表紙本と明治の日本語』。「週刊読書人」新年特大号に、磯辺敦さんによる書評が掲載されました。書籍文化史を専門とする磯辺さんは、「近代の書籍文化、とりわけ明治期の出版史を研究している私からすれば日本語学は専門外ということになるのだが」と前置きしたうえで、本書の書評を引き受けたのは、「ボール表紙本と明治の日本語」という書名に強く惹き付けられたからだ、と書いています。


「粗末な洋紙に活版刷りの本文をともなった、当時においては目新しかった洋装本」であるボール表紙本にあらわれた「明治の日本語」は多岐にわたります。その多様性を著者はどのように料理したのか。磯辺さんは、本書を「「明治の日本語」に関する文献フィールドワーク」だと述べ、今野真二さんの提案する「文献日本語学」についても紹介されています。


ぜひ「図書新聞」「週刊読書人」をご覧のうえ、『鳥の意思、それは静かに』『ボール表紙本と明治の日本語』2冊にも興味を持っていただければ、と思います。