新刊/四方田犬彦詩集『わが煉獄』が出来上がりました!






2014年最初に刊行書籍のご案内です。2月の新刊として、四方田犬彦さんの詩集『わが煉獄』を刊行しました。四方田犬彦さんは、作家・評論家として、映画、文学、漫画といったさまざまなジャンルで活躍されていますが、実は詩人としても過去に2冊の詩集を刊行しています。この『わが煉獄』は、7年前に書肆山田から刊行された『人生の乞食』に続く、詩人・四方田犬彦さんの最新詩集です。表紙カバーの印象的な絵は17世紀に活躍した版画家ジャック・カロのエッチング、装丁は加藤光太郎さんが手がけています。素朴で力強い詩集に仕上がりました。


「煉獄(れんごく)」とは、キリスト教会の教義で、天国と地獄の中間にある場所とされています。地獄に行くまでの大罪は犯していないが天国にも行けない霊魂が、煉獄で苦罰を受けることによって罪を清められ、天国に入るといいます。ですが、本書の後記によれば、煉獄とはもともとキリスト教世界に生来的な観念ではないそうです。


 33篇をもって詩集を編むことにした。ダンテの生きた時代から、33とは優れて煉獄の数字であったためである。


 煉獄il Purgatorio はキリスト教世界に生来的な観念ではない。12世紀に浄罪の場所として考案され、シチリアにあるともアイルランドにあるとも信じられた。わたしがこの虚構に導かれたのは、そこがもっぱら複数の声の交錯と反響の空間であるという理由からである。


四方田犬彦『わが煉獄』後記より


わが煉獄』は、33篇の詩を収め、詩人の内なる風景「煉獄」を描いた一冊です。詩人は、パレスチナからモロッココソヴォとさまざまな土地を歩き、ときに元日本赤軍兵士に語りかけ、またときにある女性詩人の死を悼みます。その場所や人々がもつ歴史と記憶を「煉獄」という虚構の空間に結実させた『わが煉獄』は、詩人・四方田犬彦の最新詩集にして傑作といえる詩集です。


3月13日(木)には、神保町の東京堂書店にて、『わが煉獄』と『はまゆりの頃に 三陸、福島2011〜2013年』(里山社)の刊行記念として、四方田犬彦さんと写真家の田代一倫さんのトークショーを開催します。当日は、おふたりのトークセッションとともに、四方田さんによる詩の朗読も行います。ぜひふるってご参加ください。




『わが煉獄』
[著者]四方田犬彦
[造本]A5判変型/上製本/カバー装/本文150頁
[装丁]加藤光太郎
[価格]2,200円(本体価格・税別)
 ISBN978-4-89629-273-2 C0092
http://www.minatonohito.jp/products/146_01.html


トークイベント】
『わが煉獄』(港の人)×『はまゆりの頃に 三陸、福島2011〜2013年』(里山社)刊行記念
四方田犬彦氏×田代一倫氏トークショー
会場:東京堂書店神田神保町
日時:3月13日(木)19:00〜
http://www.tokyodoshoten.co.jp/blog/?p=5969