“ひとり出版社”という働きかた

河出書房新社から出たばかりの「“ひとり出版社”という働きかた」(西山雅子編)は、小さな規模の出版社の10人、そして、書店や古書店など本の周辺で活躍する人々へのインタビューや寄稿から成る本です。この本の中で、港の人のことも取りあげていただきました。3人でスタートした出版社立ち上げのころの話や、学術書と文芸書を並行して刊行するようになったいきさつ、北村太郎さんとの思い出など、インタビューに答えて語っています。
港の人は、この本に登場する出版社のなかでいちばん古く、代表者の年齢もいちばん年上。果敢に活動する若い方々のなかに含めていただき、戸惑いや気恥ずかしさもありますが、光栄この上ないことです。
スペシャル・インタビューとして谷川俊太郎さんも登場します。詩と出版をめぐる状況の変化や電子書籍への言及には、谷川さんならでは説得力があります。もちろん他の人々の言葉ひとつひとつにも、実践している人こその実感が伝わってきます。
本の未来はどうなるのか、出版業界はこの先どうなっていくのか。そして、仕事とは何か。自信をもって答えられる言葉はいまだ見つかりませんが、かろうじてわかるのは、出版社は、一冊一冊本を作り続けることを通して答えを探していくしかないということでしょうか。
ところで、この本で弊社社長は「上野勇治」として登場します。当たり前ですが、これは誤植でも、社長交代でもありません。里舘は、プライベートな事情で姓が変わりました。名前は変わっても、中身は全然変わっていませんので、引き続きよろしくお願いいたします。




カバーの絵はミロコマチコさん。港の人からエッセイ集『ホロホロチョウのよる』も出ています