季刊「真夜中」(鼎談:蓮實重彦×黒沢清×青山真治)で紹介されました!



本日発売の季刊「真夜中」NO.8の、蓮實重彦さん、黒沢清さん、青山真治さんによる「映画長話」というコーナーで、『再履修 とっても恥ずかしゼミナール』万田邦敏著)が取り上げられました! 昨年出版された2冊の映画本『マッケンドリックが教える映画の本当の作り方』(フィルムアート社)、『女優 岡田茉莉子』文藝春秋)とともに、「赤い映画の本、三話」というテーマで紹介されています。


万田さんと縁の深い三人によって、『再履修 とっても恥ずかしゼミナール』のこと、映画監督/批評家としての万田さんのこと、刊行記念として行われたアテネ・フランセ文化センターでの上映会のこと、そして立教時代から現在までの黒沢さんと万田さんの関係についてなど、さまざまな話が語られています。


とはいえ、いきなり黒沢さんと万田さんの「確執」ならぬ「行き違い」についての話から始まっているため、最初はドキドキしてしまいました。アテネで行われたトークショー(黒沢×万田×高崎俊夫)でも、お二人の意見が対立し白熱した場面もありました。今回の鼎談では、そのときの後日談というか、黒沢さんの万田さんに対する率直な思いが語られており、とても興味深い内容です(もちろん、お二人の「行き違い」は「愛」によるものでしょう、と蓮實さんもフォローされています)。


他の二冊についての話もとてもおもしろい話をされていますので、ぜひ読んでみてください。

青山 一方、万田さんは映画のみならずきわめて達者な文章家で、現在も高いクオリティを維持しつづけている。万田さんの文章力にあらためて驚きました。
黒沢 ものを書くということについては、最初からサラブレットな感じがしましたよ。
(略)蓮實さんの影響もあったのか、書くと非常に辛辣。何かを褒めたりこの映画を見てもらいたいという思いが先立つと、そのためには一般的にはいいと言われている映画もばっさり切り捨てる。それは読み物として非常に面白い。

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蓮實 (万田さんと黒沢さんが)似ていると思ったことは一度もありません。どうしてこれだけ違う二人が一緒にやっていけるのかというのがむしろスリリングでした。万田さんは法学部的、黒沢さんは社会学部的といってしまうとやや語弊がありますが、並ぶはずのない二人が一緒にいて、撮る映画はどこか似ているようで、しかもまったく違うというのは不気味なものでした。違うんだけれど、それぞれどこか似ているやり方で学生映画一般を飛び抜けている。
(「真夜中」NO.8より)


季刊 真夜中 No.8 2010 Early Spring 特集:ケンカ2010

季刊 真夜中 No.8 2010 Early Spring 特集:ケンカ2010


*『再履修 とっても恥ずかしゼミナール』は現在amazonでは在庫切れのようです。ご注文の際はぜひ書店か港の人までご連絡ください。