新刊/坂多瑩子詩集『ジャム 煮えよ』が出来上がりました。






9月の新刊2冊目。坂多瑩子さんの詩集『ジャム 煮えよ』が出来上がりました。坂多さんは、1945年広島県生まれ、現在は横浜に在住している詩人です。2003年に刊行した第一詩集『どんなねむりを』(夢人館)で第36回横浜詩人会賞を受賞されています。『ジャム 煮えよ』は4冊目(電子ブックを除く)の詩集。装画は茸地寒さん、装幀は関宙明(ミスター・ユニバース)さんが手がけています。


『ジャム 煮えよ』は、家や家族の物語が綴られた詩集です。さまざまな食べ物も登場するこの詩集には、そこかしこに「生と死」というテーマも見え隠れします。そして、「キノコ」や「糸状藻」や「巻貝」など、どこかふしぎな生物たちもその作品に登場しています。


巻貝があちこちに
どこかが欠けたものばかりだったが

ひとつだけ
完璧なカタチがあったから
それも特大
のぞいてみたら奥まったところに赤い脚

空家に入りこんだ住人ありか
それでも巻貝がほしい
ほっとけばいいものを持って帰ってきた


(略)


朝 脚がだらんとしていた
ピンセットでひっぱりだす
やっと空家になった
あたしが住めるわけでもないんだけど
水で洗って
太陽に干す




「コレクター」(『ジャム 煮えよ』より)

本書は少部数出版のため、基本的には書店での取り扱いはありません。ただし、書店にてご注文いただければいつでも出荷いたします。ご興味のある方は、ぜひお近くの書店にてご注文ください。



ジャム 煮えよ
著者:坂多瑩子
絵:茸地寒
A5判/上製本/本文96頁
本体価格1,600円(税別)
ISBN978-4-89629-265-7 C0092