新刊『胞子文学名作選』(田中美穂編)が出来上がりました!


すっかりお知らせが遅くなりました(おまけに「制作過程」もその1で終わってしまいました……)が、このたび、新刊『胞子文学名作選』(田中美穂編)が出来上がりました!


本書は、3年前に刊行し話題となった『きのこ文学名作選』(飯沢耕太郎編)の姉妹編。今回は、倉敷にある古本屋「蟲文庫」店主の田中美穂さんが編者をつとめ、苔、きのこ、シダ、カビ、麹、海藻など、胞子をテーマにした文学作品20作品を集めたアンソロジーです。ブックデザインを手がけたのは、前回、祖父江慎さんと一緒に『きのこ文学名作選』を作っていただいた吉岡秀典(セプテンバーカウボーイ)さん。装画・挿絵は今回も松田水緒さんです。また印刷製本はシナノ印刷さんにお願いしました。


田中美穂さんもブログで紹介されていますが、とにかく見どころ・読みどころがたくさんありすぎて、どこからご紹介していいのかわからなくなってしまいます。まずは本書のとんでもなくおもしろいブックデザインを、写真にてご紹介します。胞子のふしぎな世界を、まずは目で楽しんでみてください。明日には、その内容をご紹介できればと思います。


ちなみに本書は、通常版の他に300部限定の苔バージョンなるものもご用意しております。限定版は基本的に蟲文庫さんのみでの限定発売となります。購入希望の方は、蟲文庫さんまでご連絡ください(連絡先はこちら)。





『胞子文学名作選』通常版。大きな穴からきらきらとした箔が輝いています。大きな穴がぼこぼこあいたカバーには、松田水緒さんの胞子の絵たちと、田中美穂さんが「苔の標本袋」に書かれた手書きの文字が散りばめられています。またカバーはロー引きがほどこされていますので、多少の汚れや傷などができても、ますますすてきな風合いが出てくると思います(加工は大和ロー引加工所)。



カバーをとると、うっとりするほどきれいな箔が登場します。こちらの箔押しは、箔押し印刷工房「コスモテック」さんによる渾身の出来。さまざまな工夫が凝らされているようで、よくよく見るとこまかな菌糸がうごめいているようにも見えます。



本を開いてみると、ここにも大きな穴が…



こちらは限定300部の限定版苔バージョン。箔の色が緑色で、その他の仕様・内容に違いはありません。限定版の発売は蟲文庫さんへ。



2冊を並べるとこんな感じ。



本文もとんでもないことになっています。まずは永瀬清子「苔について」。なんと編者の田中美穂さんの手書き文字です。



前川佐美雄のきのこを題材とした短歌。無数のきのこたち。



井伏鱒二「幽閉」。個人的に一番おすすめのページです。まずは手で触れて、ボコボコとした紙質にびっくりしてみてください。このページのみ活版印刷で刷られており、印刷はファーストユニバーサルプレスさんにお願いしました。




胞子文学名作選
編者:田中美穂
著者:永瀬清子、小川洋子太宰治井伏鱒二松尾芭蕉小林一茶、伊藤香織、谷川俊太郎多和田葉子、野木桃花、川上弘美尾崎一雄、河井酔茗、栗本薫宮沢賢治佐伯一麦、前川佐美雄、内田百輭尾崎翠金子光晴
造本:四六判/ソフトカバー/本文358頁
定価:2,600円(本体価格・税別)
ISBN978-4-89629-266-4 C0093